気軽に海で釣りをしよう。どこで釣ればいいか。
昭和から平成の時代は、休日に漁港で釣りを楽しむ家族づれの姿が多くみられました。それがここ数年、「釣り禁止」「立ち入り禁止」の看板が建っている漁港が増えました。観光客向けの駐車すら、全面禁止となっている港もあります。釣り人はもちろん、地元の観光業者も当惑していると聞きます。
第4期海洋基本計画(4.28閣議決定)では、「漁港における釣りやプレジャーボート等の適正利用を図るべく、駐車場等の受入環境の整備や関係団体との連携によるマナー向上やルールづくり等を進める。これらの取組により、都市漁村交流人口の増大と、漁港等における新たな海業等の取組を展開する。」とされました。
これを受けて、水産庁は「漁港における釣り利用・調整ガイドライン」を公開しました。
漁港での釣りは、漁村地域への交流のきっかけとなり、家族連れで来訪することで地域水産物にふれあう機会となり消費拡大に寄与している側面もあります。このことから、「海業(うみぎょう)」の取組として位置づけ、漁港は漁業の根拠地であり漁業活動による利用が優先されるとの前提を踏まえ、漁業活動との調和を図りつつ推進することで、漁村における賑わいや所得向上、雇用創出につながることが期待されます。
(漁港における釣り利用・調整ガイドライン(案) 水産庁 令和5年6月12日)
> 漁港でグルメ&レジャー、レストランやホテルの整備容易に…政府が法改正検討
(2022/08/17 読売新聞)
> 漁港活用で地域活性化 改正案、観光客呼び込む
(2023/3/10 産経新聞)
漁港において漁業以外で経済振興を図ることを水産庁は「海業」と規定しています。
海や漁村の魅力をいかすことで、観光客を新たに呼び込み、地域の活性化につなげる。そうすれば、漁業者の所得向上にもつながるという発想です。不漁で漁獲量が減る中、漁港の機能を維持するためにも大事な取り組みだとして、国も支援に乗り出しています。
(漁業から“海業”への転換 2023年6月9日 NHK)
これまで何かとグレー扱いだった「漁港での釣り」を、全国的に海業の一環として国が正式に推進することで、漁村の経済活性化へつなげようという目論見です。編集部が先日行った和歌山県の漁港には、釣り人歓迎の機運が満ちていました。釣り人向けの駐車場案内、釣り物案内の看板が随所に立っていて、これは気持ちがいいなと感じたものです。誰だって後ろ暗い気持ちで釣りをしたくはありません。
スマホアプリ「海釣りGO」では、混雑しがちな漁港の釣り場を事前の予約と利用料金の支払いでコントロールし、地元への還元も行います。
> マナー低下で釣り禁止の漁港に救世主 “最新アプリ”の仕組みとは
(毎日新聞 2023/7/16)
デジタル技術をうまく活用することにより、初期投資が必要となる従来型の海釣り施設とは異なった、日本の漁港・港湾施設を利活用する新たなソリューションが生まれたことを歓迎します。
(アドバイザーの東京海洋大学工藤貴史教授)
釣り人を責任ある漁港利用者の一人に位置付け、町の条例に基づいて適正な費用を漁港管理者に届ける。1時間300円で釣り場を予約できる仕組み
(2023年7月17日 伊豆新聞)
漁港の建築整備費は国民の税金から拠出されています。まさに漁港は、巨額の税金を投入して整備された公共施設です。(新潟県農林水産部漁港課)。漁獲量が年々減少している今、漁業者と釣り人とが結ぶよい関係が、水産業の未来へ繋がるはずです。
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フライの雑誌 124号大特集 3、4、5月は春祭り
北海道から沖縄まで、
毎年楽しみな春の釣りと、
その時使うフライ
ずっと春だったらいいのに!