『フライの雑誌』第131号(2024夏秋号)から、[トピックス]「水産庁は釣り人の敵なのか」(編集部まとめ)を公開します。
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水産庁は釣り人の敵なのか
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「フライの雑誌」130号の本欄で紹介した遊漁船を含めた旅客船の救命いかだ義務化問題について、多方面からの反発を受けて、義務化が延期となった。もともと国交省からの無理すじな押し付けだった。水産庁は事前に内容を分かっていながら、なにもしなかった。不作為というほかない。結局、釣り船業界が政治家まで使って一斉に反対した結果、法律の発効期限を過ぎてから〝延期〟ということになった。
一息ついたと思ったら、今度は水産庁管轄の遊漁船業法の改正で、遊漁船は立入禁止の沖堤防へ客を案内できなくなるとされた。立入禁止というが地方行政の黙認状態のもと、今まで自主独立で何十年も続いてきた事実がある。法律の改定で渡船業者は長年続いてきた生業を奪われることになる。
釣りジャーナリスト協議会3月定例会では、協議会会員および渡船業者が、水産庁の沿岸・遊漁室課長補佐(海面遊漁担当)へ抗議。渡船業を潰すつもりかという声に対し、有効な回答が得られず。会場は紛糾した。協議会として沿岸・遊漁室長の次回会議への出席を求めた。
弊社堀内は同席の水産庁・釣人専門官へ「水産庁は誰の味方なのか」と問うた。釣り人を味方にしないと水産庁は誰にも相手にされなくなります、とも。同じ確認を何度も繰り返している。
皆さんがバランスとって楽しく遊んでいる釣り場へ頼まれてもいないのに顔を出して「はい、明日から釣りはできません。」と邪魔しているのが今回の水産庁だ。不利益から釣り人を守るのが水産庁本来の立場だ。実情に合わない規程を指摘されているのだから調整するべきで、「禁止は禁止です。」と説明会で逆ギレしていては国民を向いていない。
翌4月の定例会でも責任者の室長は出席せず。「水産庁はだらしなさすぎる」、「釣り人のことを何も考えてない」と鈴木康友釣りジャーナリスト協議会会長(つり人社)が憤っていた。
水産庁・釣り人専門官は「釣り人のために働く人」をお題目として2004年に新設された。下写真は2010年の日光湯川禁漁騒動を報じる、「フライの雑誌」第90号の記事だ。この時は釣人専門官が湯川の現場まで来て視察し、不当な禁漁は2ヶ月で撤回された。釣り人の視点をもった役人として釣人専門官が機能したのだった。今はどうか。
今年の水産白書で「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業」として海業(うみぎょう)を提唱しておきながら、実際はこの体たらくである。
いま水産庁は、釣り人を守る防波堤として機能していない。
このままでは水産庁は釣り人の敵になる。
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『フライの雑誌』第131号(2024夏秋号)掲載
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フライの雑誌 125(2022夏秋号)
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