改訂遊漁船法の「立入禁止」問題についてのまとめ(2024.9.14現在)

9.12、釣りジャーナリスト協議会9月定例会へ参加してきました。

「水産庁は釣り人の味方じゃないんだよ!」とつり人社のスーさんが吠える。「〈水産庁は釣り人の敵なのか〉っていう記事を最新号に載せましたよ」とわたしが被せる。遊漁船法改悪で水産庁職員と談論風発。今日の定例会、無理して行ってよかった。フライフィッシングに沖堤防はほぼ関係ないけど、仁と義として看過できないことがある。

救命イカダの件は水産庁には同情の余地もあるが、自庁管轄の沖堤防問題は別。要は、改訂遊漁船法の「業務規程例」に、水産庁が「事業者は、利用者を立入禁止の場所へ案内することは行いません。」の1行を明文化したことが発端(第2章 利用者の安全管理に係る体制等に関する事項  第6条 2)。今まで渡船業者が都道府県行政と釣り人と何十年も築き上げてきた信頼関係をこの1行がこわした。くわしくは【公開記事】「水産庁は釣り人の敵なのか」(編集部まとめ)|フライの雑誌-第131号(2024年)掲載をご覧ください。色んなご意見はあると思いますが弊誌の意見はこちらです。

誰も頼んでいない。誰もハッピーにならない。じゃあどの堤防が「立入禁止なんですか」と聞いたところ、当の水産庁自身が堤防の数も位置も利用状況も把握していない、という事実。しかも港湾と漁港とは別です、港湾は水産庁の仕事じゃない、と逃げる始末。仕事が雑すぎる。

各方面からの抗議を受けた結果、水産庁は「当事者同士で話し合っていただきたい。Q&Aの紙を関係者へ配布しました」と昨日の定例会で言った。いかにもこれで解決したみたいな態度なので、配布したのはいつですか、と聞くと、昨日(9.11)だか一昨日だかという。その内容がこちら。「当該沖の防波堤が立入禁止になっているかについては、それぞれの施設管理者にお尋ねください。」だそうだ。木で鼻を括ったようなこんな案内じゃ、配られた方が困る。ていうか、雑な業務規程例を読んで地方の行政マンが困っちゃったから、一律で禁止は禁止、と言い出したのだろうと思われる。

法律を新しくするなら事前に状況と情報を整理しないとダメ。それができていないのが今回の水産庁のダメな点。〈自分で管轄者に聞け〉とは、いくらなんでもない。立入禁止堤防は立ち入り禁止だと強弁するなら、その「立入禁止」堤防を逐一リストアップするのが公正な行政の仕事だ。立入禁止堤防も、立入禁止じゃない堤防も水産庁〝遊漁の部屋〟で公開すればいい。釣りに重要な堤防が「立入禁止」になっているなら、釣りができるように環境を整えるのが水産庁の仕事です。

今回の改訂で、渡船を生業とする渡船業者は生活の糧の一部を失う。まったくもって酷いこと。水産庁は昨日「沖堤に入った釣り人が軽犯罪法で捕まっていいんですか?」と言っていた。警察のつもりなのかな。制限速度以下の車だけなら交通は麻痺する。駅前で排泄すれば捕まるが山ではどうか。そんなのそれこそ水産庁に心配されることじゃなくて、個々人の話で大きなお世話。色々ありつつも、現場では回っている。ほっといてください。水産庁には他にもっと重要な火急のやるべき仕事がいくらでもあるでしょう? 自庁の保身のために余計なことして、釣り人の、漁業者の足を引っ張らないでください。(同じことをつり人社のスーさんも言っていた。「逃げじゃねえか。」って。)

持続的な漁業と自由な釣りを担保する漁業者と釣り人の立場で、権力の行き過ぎや自然破壊へ抵抗するのが、水産庁本来の仕事だと思います。国がもっと大きな枠組みで水産を軸として地域経済を盛り上げようとしている「海業」(うみぎょう)に反することでもあります。

さて。水産庁が公示している「遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年4月1日施行)をよくよく読み返してみる。すると、問題になっている「利用者を立入禁止の場所へ案内することは行いません」という条文は、ない(ですよね)。「遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律の概要」にもない。もちろん「新旧対照条文」にもない。水産庁が提示している「業務規程例」に示されているのみ。「例」なんだから「例」です。業務規程は業者と県知事との間の約束です。

水産庁は提示している「業務規程例」を変更するのがいいと思います。「事業者は、利用者を立入禁止の場所へ案内することは行いません。」を削除するか、他の言い方へ換える手はありそう。あるいは、「既存の事業に関しては当事者間で調整する。」的な一文を追加するとか。そうすればあとは現場でうまくやります。都道府県の行政現場が、水産庁の「例」をあくまで「例」として扱うのもありでしょう。「例」としてお聞きしますね、ということで収めれば、やっぱり現場で実情に合わせてうまくやれます。

などと、素人は思います。

結局水産庁ってなんのために誰のためにあるんでしょうかね。遡ると、外来生物法でのバス問題の時も、3・11の放射能汚染でも、大きな問題になればなるほど、釣り人のために漁業者のために、何もしなかった。明治以来連綿と続いてきた中央集権体制の無理を感じます。地方のことは地方で決めればいいし、決めるしかないんだと思います。

水産庁。遊漁・沿岸室長(右)、釣人専門官(左)。

つり人社さん(左)、日本釣振興会さん(中)

9.12、釣りジャーナリスト協議会9月定例会

「水産庁の業務規程例において、「利用者を立入禁止の場所へ案内しない」旨の記載をすることをお示ししているところですが、この点について質問が多く寄せられたことから、以下のとおりQ&Aを作成しましたのでご参考までにお知らせします。」で出てきたのがこの紙。「当該沖の防波堤が立入禁止になっているかについては、それぞれの施設管理者にお尋ねください。」だそう。これは雑すぎる。

フライの雑誌 131(2024夏秋号): 特集◎イブニング&ヒゲナガカワトビケラの釣り 一発逆転、大物チャンス!|釣るためのトラディショナル・ダブルハンド・オーバーヘッドキャスト 川本勉|日本で海フライがメジャーにならないのはなぜだろう? 中馬達雄|特別企画 無職亭釣日乗 大木孝威|モンタナ・イブニング事情 山本 智|斉藤ユキオ|カブラー斉藤|荻原魚雷|樋口明雄

フライの雑誌-第128号| 2023年8月1日発行

バラシの研究
原因と対策と言い訳
もう水辺で泣かないために
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フライの雑誌-第130号(2024春号)|特集◎釣り人の移住計画
TMC201Rの作例 島崎憲司郎 シマザキフライズ|中馬達雄|川本勉|斉藤ユキオ|カブラー斉藤|大木孝威|時川真一|遠藤 昇|牧 浩之|荻原魚雷|樋口明雄|表紙:いましろたかし  

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当編集部の徒歩圏、八王子市役所近くの浅川にクマが出たと話題です。現代の日本において、〝森のあるところクマがいる〟と喝破した本が『ムーン・ベアも月を見ている クマを知る、クマから学ぶ』(山﨑晃司著) です。川原は上流から下流へ繋がる森です。

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CDCを無駄にしない万能フライ「アペタイザー」のタイイング|シマザキフライ・タイイング・ミーティング2022|世界初・廃番入り TMCフライフック 全カタログ|島崎憲司郎 TMCフックを語る|本人のシマザキフライズ 1987-1989

大平憲史|齋藤信広|沼田輝久|佐々木安彦|井上逸郎|黒石真宏|大木孝威

登場するシマザキフライズ
バックファイヤーダン クロスオーストリッチ ダブルツイスト・エクステンション マシュマロ・スタイル マシュマロ&ディア/マシュマロ&エルク アイカザイム シマザキ式フェザントテールニンフ ワイヤードアント アグリーニンフ シマザキSBガガンボA、B パピーリーチ ダイレクト・ホローボディ バイカラー・マシュマロカディス スタックサリー

シマザキフライとは、桐生市在住の島崎憲司郎さんのオリジナル・アイデアにもとづく、一連のフライ群のこと。拡張性が高く自由で“よく釣れる”フライとして世界中のフライフィッシャーから愛されています。未公開シマザキフライを含めた島崎憲司郎さんの集大成〈Shimazaki Flies〉プロジェクトが現在進行中です。

ちっちゃいフライリールが好きなんだ|フィリピンのフライフィッシング|マッキーズ・ロッドビルディング・マニュアル|「世界にここだけ 釣具博物館」OPEN|つるや釣具店ハンドクラフト展

発言! 芦ノ湖の見慣れぬボート ブラックバス憎しの不毛 福原毅|舟屋の町の夢 労働者協同組合による釣り場運営と子ども釣りクラブ|漁業権切り替えと釣り人意見|公共の水辺での釣りのマナー|アメリカ先住民、アイヌの資源利用と漁業制度に学ぶ|海を活かしてにぎやかに暮らす 三浦半島・松輪|理想の釣り場環境ってなんだろう 樋渡忠一|日本釣り場論 内水面における年少期の釣り経験|ヤマメ・アマゴの種苗放流の増殖効果|関東近郊・冬季ニジマス釣り場案内

6番ロッドで大物を。ブリ、カンパチ狙いのタックルとファイト|戦術としての逆ドリフト|阿寒川の見えないヒグマ 黒川朔太郎|ビルド・バイ・マッキー 堀内正徳|ナイフと職質 山崎晃司

水口憲哉|斉藤ユキオ|中馬達雄|川本勉|カブラー斉藤|荻原魚雷|樋口明雄

フライの雑誌社が作ったフライフィッシング入門書。残り少なくなりました。
フライの雑誌-第122号|特集◉はじめてのフライフィッシング1 First Fly Fishing 〈フライの雑誌〉式フライフィッシング入門。楽しい底なし沼のほとりへご案内します|初公開 ホットワックス・マイナーテクニック Hot Wax Minor Technics 島崎憲司郎+山田二郎 表紙:斉藤ユキオ

島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW』は各所で絶賛されてきた超ロングセラーの古典です。売り切れました。

水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW

フライの雑誌-第127号|特集1◎ フライキャスティングを学び直す① 逆ドリフト講座 風のライン
特集2◎ パピーリーチの逆襲 知られざるシマザキフライの秘密

フライの雑誌 125(2022夏秋号)
> くわしい内容はこちら
Flyfishing with kids.
一緒に楽しむためのコツとお約束

子供と大人が一緒にフライフィッシングを楽しむためのコツとお約束を、子供と大人で一緒に考えました。お互いが幸せになれるように、子供が子供でいられる時間は本当に短いから。
子供からの声(10〜12歳)|大人からの声|水産庁からの声|子供と遊ぶための道具と技術と心がまえ|釣り人の家族計画|イギリスの場合|「子供釣り場」の魅力と政策性
特別企画◎シマザキワールド16 島崎憲司郎 
座談会「みんなで語ろう、ゲーリー・ラフォンテーン」
そして〈シマザキフライズ〉へ
ちっちゃいフライリールが好きなんだ|現役で使えるグリーンハート製ロッド大集合!|湯川の娘 知来要|カワムツはいつ、どこから来たか|海女のゆく末|メガソーラーの問題点
水口憲哉|中馬達雄|川本勉|斉藤ユキオ|カブラー斉藤|大木孝威|荻原魚雷|樋口明雄|島崎憲司郎

フライの雑誌-第121号 特集◎北海道 最高のフライフィッシング

>特集◎釣れるスウィング
シンプル&爽快 サーモンから渓流、オイカワまで|アリ・ハート氏の仕事 Ari ‘t Hart 1391-2021|フライフィッシング・ウルトラクイズ!
『フライの雑誌』第123号
2021年10月15日発行
ISBN978-4-939003-87-5

「フライの雑誌」第120号特集◎大物ねらい
人は〈大物〉を釣るのではない。〈大物〉に選ばれるのだ。

フライの雑誌社の単行本

単行本新刊
文壇に異色の新星!
「そのとんでもない才筆をすこしでも多くの人に知ってほしい。打ちのめされてほしい。」(荻原魚雷)
『黄色いやづ 真柄慎一短編集』
真柄慎一 =著

装画 いましろたかし
解説 荻原魚雷

『朝日のあたる川』(真柄慎一)

バンブーロッド教書[The Cracker Barrel]
永野竜樹 =訳 フライの雑誌社 =編
バンブーロッド教書
Understanding & Fishing the Bamboo Fly Rod[The Cracker Barrel]

バンブーロッドの世界史、取り扱い方、メーカーの系譜、ビンテージロッドの選び方、アクションの考え方、バンブーロッド・ビルディング、世界の最新事情とマーケット、初めての一本の選び方、バンブーロッドにまつわる人間模様のストーリーまで。バンブーロッドの魅力の全てをこの一冊にまとめました。
現代はバンブーロッドの黄金期である。

 残り少なくなりました。

イワナをもっと増やしたい! 2刷カバー
イワナをもっと増やしたい! 2刷カバー

魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか 水口憲哉
フライの雑誌社 2005年初版 ・3刷

桜鱒の棲む川―サクラマスよ、故郷の川をのぼれ! (水口憲哉2010)

淡水魚の放射能―川と湖の魚たちにいま何が起きているのか  水口憲哉著

斉藤ユキオさん ポストカード「優しき水辺」 no.111

フライの雑誌-第125号|子供とフライフィッシング Flyfishing with kids.一緒に楽しむためのコツとお約束|特別企画◎シマザキワールド16 島崎憲司郎
座談会「みんなで語ろう、ゲーリー・ラフォンテーン」 そして〈シマザキフライズ〉へ

フライの雑誌 117(2019夏号)|特集◎リリース釣り場 最新事情と新しい風|全国 自然河川のリリース釣り場 フォトカタログ 全国リリース釣り場の実態と本音 釣った魚の放し方 冬でも釣れる渓流釣り場 | 島崎憲司郎さんのハヤ釣りin桐生川

高円寺とか阿佐ヶ谷とか新宿二丁目とか。 葛西善蔵と釣りがしたい