9.12、釣りジャーナリスト協議会9月定例会へ参加してきました。
「水産庁は釣り人の味方じゃないんだよ!」とつり人社のスーさんが吠える。「〈水産庁は釣り人の敵なのか〉っていう記事を最新号に載せましたよ」とわたしが被せる。遊漁船法改悪で水産庁職員と談論風発。今日の定例会、無理して行ってよかった。フライフィッシングに沖堤防はほぼ関係ないけど、仁と義として看過できないことがある。
救命イカダの件は水産庁には同情の余地もあるが、自庁管轄の沖堤防問題は別。要は、改定遊漁船法の「業務規程例」に、水産庁が「事業者は、利用者を立入禁止の場所へ案内することは行いません。」の1行を明文化したことが発端(第2章 利用者の安全管理に係る体制等に関する事項 第6条 2)。今まで渡船業者が都道府県行政と釣り人と何十年も築き上げてきた信頼関係をこの1行がこわした。くわしくは【公開記事】「水産庁は釣り人の敵なのか」(編集部まとめ)|フライの雑誌-第131号(2024年)掲載をご覧ください。色んなご意見はあると思いますが弊誌の意見はこちらです。
誰も頼んでいない。誰もハッピーにならない。じゃあどの堤防が「立入禁止なんですか」と聞いたところ、当の水産庁自身が堤防の数も位置も利用状況も把握していない、という事実。しかも港湾と漁港とは別です、港湾は水産庁の仕事じゃない、と逃げる始末。仕事が雑すぎる。
各方面からの抗議を受けた結果、水産庁は「当事者同士で話し合っていただきたい。Q&Aの紙を関係者へ配布しました」と昨日の定例会で言った。いかにもこれで解決したみたいな態度なので、配布したのはいつですか、と聞くと、昨日(9.11)だか一昨日だかという。その内容がこちら。「当該沖の防波堤が立入禁止になっているかについては、それぞれの施設管理者にお尋ねください。」だそうだ。木で鼻を括ったようなこんな案内じゃ、配られた方が困る。ていうか、雑な業務規程例を読んで地方の行政マンが困っちゃったから、一律で禁止は禁止、と言い出したのだろうと思われる。
法律を新しくするなら事前に状況と情報を整理しないとダメ。それができていないのが今回の水産庁のダメな点。〈自分で管轄者に聞け〉とは、いくらなんでもない。立入禁止堤防は立ち入り禁止だと強弁するなら、その「立入禁止」堤防を逐一リストアップするのが公正な行政の仕事だ。立入禁止堤防も、立入禁止じゃない堤防も水産庁〝遊漁の部屋〟で公開すればいい。釣りに重要な堤防が「立入禁止」になっているなら、釣りができるように環境を整えるのが、釣りを管轄する唯一の省庁である水産庁の仕事です。
今回の改定で、渡船を生業とする渡船業者は生活の糧の一部を失う。まったくもって酷いこと。水産庁は昨日「沖堤に入った釣り人が軽犯罪法で捕まっていいんですか?」と言っていた。警察のつもりなのかな。そんなの水産庁に心配されることじゃなくて、個々人の話で大きなお世話。色々ありつつも、現場では回っている。ほっといてください。水産庁には他にもっと重要な火急のやるべき仕事がいくらでもあるでしょう? 自庁の保身のために余計なことして、釣り人の、漁業者の足を引っ張らないでください。(同じことをつり人社のスーさんも言っていた。「逃げじゃねえか。」って。)
持続的な漁業と自由な釣りを担保する漁業者と釣り人の立場で、権力の行き過ぎや自然破壊へ抵抗するのが、水産庁本来の仕事だと思います。釣りへの制限を増やすのは、国がもっと大きな枠組みで水産を軸として地域経済を盛り上げようとしている「海業」(うみぎょう)に反することでもあります。
さて。水産庁が公示している「遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律」(令和6年4月1日施行)をよくよく読み返してみる。すると、問題になっている「利用者を立入禁止の場所へ案内することは行いません」という条文は、ない(ですよね)。「遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律の概要」にもない。もちろん「新旧対照条文」にもない。水産庁が提示している「業務規程例」に示されているのみ。「例」なんだから「例」です。業務規程は業者と県知事との間の約束です。
水産庁は提示している「業務規程例」を変更するのがいいと思います。「事業者は、利用者を立入禁止の場所へ案内することは行いません。」を削除するか、他の言い方へ換える手はありそう。あるいは、「既存の事業に関しては当事者間で調整する。」的な一文を追加するとか。そうすればあとは現場でうまくやります。都道府県の行政現場が、水産庁の「例」をあくまで「例」として扱うのもありでしょう。「例」としてお聞きしますね、ということで収めれば、やっぱり現場で実情に合わせてうまくやれます。
などと、素人は思います。
結局水産庁ってなんのために誰のためにあるんでしょうかね。遡ると、外来生物法でのバス問題の時も、3・11の放射能汚染でも、大きな問題になればなるほど、釣り人のために漁業者のために、水産庁は何もしなかった。明治以来連綿と続いてきた中央集権体制の無理を感じます。地方のことは地方で決めればいいし、決めるしかないんだと思います。
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