昨日、青空文庫で葛西善蔵の「雪をんな(二)」を読んでいたところ、こんな記述に出くわした。
彼女と――私はしば/\釣を垂れた。彼女とは……。
私等の釣りするところは、深い内海になつて居つて、湖水のやうに海の水は靜かで、私等は何時も其處の岩の上から糸を垂れたのである。夏八月の海のこととて、水も穩であり、殊にそんな湖水のやうな入江であつたので釣り糸の下の海草の搖ぐさままでも明はつきりとよく見えるのである。それともなく搖ぐ海草、泳ぐ小さな赤い色した小魚、其等が糸を垂れるたびに釣れて來るのである。極北の風、極北の浪、其處に一匹の釣りをしてゐるといふ感懷はどうだ、さう云ふ場合にだつてどれだけ「雪をんな」のことを思つたか知れない。と云つて、八月を越えると最早冬、五月までの冬、その間に「雪をんな」と云ふものは出るんだな。
私はしば/\彼女と、岬を越えた外海に出た。北ながらに太平洋を吹いてくる風である。私は岩づたひに荒い浪の魚を釣り歩いたりしたが、
葛西善蔵、釣りしてやがる。しかも女連れで。やっぱり釣り好きなんじゃん。
「雪をんな」はまだイメージ的に伝わってくるのだが、「雪をんな(二)」は何回読んでもよくわからない。『青森の文学世界』の竹浪直人さん「雪をんな論」を読み直したが「雪をんな(二)」には言及されていない。「雪をんな(二)」はおそらくはあまり出来のよい作品ではないのかもしれない。
葛西善蔵はことあるごとに釣りをしている風である。色々と深く自分勝手に人生のことを悩みまくっているくせに、釣りしている時はそれらを忘れられたのだろうか。
そんな感じで日が暮れる。夕方になればオイカワ釣りへ行きたくなる。仕事が進まない。
酒を飮んで少し元氣づいたところで、自分は女中たちに誘はれて、褞袍を二枚かさね着して、十時過ぎに湖水に乘り出した。船頭は吉さんと云ふ。木挽きが本業の、二十四五のおとなしい若者だつた。一度鱒釣りに出かけて、知つてる仲だつた。彼は船頭としてもかなりの腕だつた。竿竸漕では一着を取つた。
(湖畔手記)葛西善蔵
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— 堀内正徳 (@jiroasakawa) September 30, 2024
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