ニジマス釣り、茨城県で70年ぶり解禁…「産業管理外来種」指定で保護の必要性薄れる
(読売新聞 2023.10.13)
読売新聞の記事。タイトルではよく分からない。
茨城県は、来年1月にも河川などでのニジマス釣りを約70年ぶりに全面解禁する方針を決めた。乱獲を防ぐために県の規則で禁止していた全長15センチ以下の個体や卵、10~3月の採捕を認める。一般的にイワナやウグイなどの釣りで使用される毛針の使用規制も約60年ぶりに解除する方針だ。
そもそも茨城県にはニジマスが漁業権対象魚種になっている河川がない。にも関わらず、内水面漁業調整規則では、ニジマスの禁漁期と体長制限が規定されていた。来年の内水面漁場計画変更に伴い、従前から議論されていたニジマスの保護規定の撤廃が決まった、ということだ。
その理由は国がニジマスを産業管理外来種に指定したので保護の必要性が薄れた、ということで、よく分からない。産業上重要な魚種なら、むしろ適切な管理がなされるべきだろう。
とはいえ、これから茨城県内の河川で「冬季ニジマス釣り場」が設定可能になる。
近年増えている冬季ニジマス釣り場は、総じてメリットが多い。素晴らしい展開だと思います。
(水産庁増殖推進部栽培養殖課長)
もう一点、「毛針の使用制限」について。今までは、「那珂川,久慈川,鬼怒川,利根川,大北川及びその支流」において、「3月1日から5月31日まで」毛鉤釣りが禁止されてきた。2024年からは毛鉤釣り解禁となる。
3~5月の毛鉤釣りを禁止する規則が、茨城県に全国で唯一残っていたという。時代遅れの差別的な項目だった。解除は当然だ。
同課の担当者は「今回の解禁で釣り客が増え、漁協の遊漁料収入も増加が見込まれる。漁協が行う稚魚の放流事業への貢献を期待したい」と話している。
(読売新聞 2023.10.13)
全国的に、内水面漁協の衰退が大きな問題になっている。水産庁も危機感を表明し、各種の施策を投じている。今回の調整規則変更も、内水面漁業を行政として応援する流れだろう。
釣り人が集まる釣り場を作りたい、とよく聞く。結局は川そのものの環境が一番大切だ。増殖行為もいいけれど、川がよくない状態で釣り場を維持するには、何かしら無理がある。ここが大事なところだ。
茨城県には、霞ケ浦と那珂川、利根川を巨大な地下トンネルで結ぶ「霞ケ浦導水事業」がある。こんな激やばトンネルが実現すれば、いい釣り場も元気な漁協も、生物多様性の保全もへったくれもない。国も県の行政も、言ってることとやってることの乖離が大きくて困る。
釣り人には釣り人の発想とやり方がある。大きな絵ではなくて身近な話だ。好きな釣りを末長く、気持ちよく楽しみたいと思う心が出発点だ。
> 霞ケ浦導水、工期7年延長 国交省が計画見直しへ 県負担187億円増
工期延長は五回目で、これに伴い総事業費は四百九十五億円の増加、県負担も百八十七億円の上積みになる見通し。だが、この巨大公共事業のそもそもの必要性を問う声は根強い。(東京新聞 2020年12月12日)
> 「霞ヶ浦導水事業」が17年ぶりに再開 外来生物の生息域拡大に懸念
そんな有意義なはずの事業が、なぜ10年以上もストップしていたのでしょうか。それは、那珂川流域の漁協が国を相手に、同事業の差し止めを求めた訴訟を起こしたからです。那珂川はアユの生産が有名な川であり、漁協はこの事業がアユにもたらす弊害を懸念していました。(TSURINEWS 株式会社週刊つりニュース 2023年2月18日)
> 【公開記事】発言! 川や湖に関わる皆さんにお願いしたいこと 水産庁の担当者から(櫻井政和)|フライの雑誌第127号より
(編集部・堀内)
・・・
県漁政課によると、河川や湖沼(霞ヶ浦、北浦、外浪逆浦は除く)での漁の禁止事項などを定めた「県内水面漁業調整規則」を改正する。1951年制定の同規則はニジマスについて、全長15センチ以下の個体と卵の採捕を禁じ、全長15センチを超えた個体でも産卵期間を含む10~3月は採捕を禁じている。当時、食用とされたニジマスの乱獲を防ぐために盛り込まれた。
北米原産のニジマスは明治時代に国内に持ち込まれ、現在は各地で養殖されている。国が2015年、産業上は重要であるものの適切な管理が必要な「産業管理外来種」に指定したことで、保護の必要性が薄れたため、県は禁止規定の削除を決めた。
一方、使用規制が解除される毛針は、虫のような外観からエサ要らずで釣りができるため、初心者でも気軽に利用できるのが特徴だ。
ただ、戦後の食料難に漁協が放流したアユやサケの稚魚を毛針で釣る人々がいたため、同規則は1964年に使用制限を導入。アユやサケの稚魚を放流する3~5月に限って那珂川や久慈川などと、その支流で使用を禁じており、全国で唯一の規制だった。
アユやサケは現在、法律などで採捕期間に制限があり、3~5月はそもそも釣りなどはできない。このため県は毛針に限った制限は不要だと判断した。毛針はアユやサケ以外にもイワナやウグイなどの釣りに使用されており、規則の改正後は漁協が使用を禁じる期間と区域を除き、3~5月も毛針が使用可能となる。
茨城県には久慈川や那珂川など川釣りの人気スポットがあり、都心に近いこともあって県内外から釣り愛好家が訪れている。同課の担当者は「今回の解禁で釣り客が増え、漁協の遊漁料収入も増加が見込まれる。漁協が行う稚魚の放流事業への貢献を期待したい」と話している。
県は9月12日まで約1か月間、規則の改正案をインターネット上で公表し、県民に意見を募った。今後、国の了承を得た上で来年1月にも新制度の運用を始める予定だ。
(読売新聞 2023.10.13)
『フライの雑誌』次号第129号は
12月初めの発行です。
フライの雑誌-第128号
特集◎バラシの研究
もう水辺で泣かないために
…
フライの雑誌 124号大特集 3、4、5月は春祭り
北海道から沖縄まで、
毎年楽しみな春の釣りと、
その時使うフライ
ずっと春だったらいいのに!