与謝野馨財務大臣が民主党のマニフェストを

(2009/8/5記)

「あの中にはマクロの財政政策は入っておりませんし、またマクロの経済政策も入っていないということで、選挙対策用の文章でしかないと思っております。現実の財政運営というのはもっと現実感がなければならないと思っておりますし、いわば、極言すれば本当に純粋に選挙用のフライフィッシングみたいなものだと思っています。」と批判した。

この与謝野発言を聞いて、1990年、自民党の故・渡辺美智雄元政調会長による発言、「学校を建てろ、教科書をただにしろ、道路は造れ、税金はまけろと野党はいうが、そんなうまい具合にはいかない。それは毛鉤だ。そんなものにだまされて投票する人は知能指数が高くない。」を想起した人もいるだろう。

渡辺発言と与謝野発言は、権力者が無能を指弾されたとき自分たちの内実を棚にあげて、愚民どもは唯々諾々と我々に従っておればいいのだと主張する上から目線の本質は同じだ。与謝野大臣とその党は、ただいま権力の座から墜ちる寸前にあると世間的に喧伝されているから、渡辺発言よりもさらにヒステリックになっている感がある。これだけ国の借金を膨らませておいてどのつら下げていまさらマクロ経済を持ち出すのか。それこそ盗人猛々しいというものだと思うのだが。

与謝野氏によればフライマンは、口先の約束で騙くらかしてカネだけむしりとってゆく、詐欺師そのものである。英国貴族の高貴な趣味に対してずいぶんな物言いじゃないですか。という冗談はさておき、フライマンは果たしてほんとうに、詐欺師的行為をつねづね働いているのかどうか。この点に関しては、水口憲哉氏の単行本『魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか』(フライの雑誌社刊)における渡辺発言への言及が興味深い。「魚においては(釣られるのが)毛鉤か餌かの違いは大した問題ではない」(〈毛鉤発言〉に思う)。まさにそのとおりで、毛鉤を毛鉤だと思って食いついている魚はいないことをフライマンは知っている。そして釣れない毛鉤はぜったいに作れないことを知っている。毛鉤は疑似餌であるという視座は純粋に人間側のものである。与謝野氏はフライフィッシングを知らないか興味がないのだろう。

水口氏は続けてこうも言っている。「選挙で毛鉤にだまされるなということは候補者の公約なるものにはだまされるなということである。公約というのは所詮実のないものだと代議士自身公言していることになる」。猫も杓子もマニフェスト流行りの昨今だが、「公約違反、大したことない」と言い切った小泉元首相の例をみるまでもなく、政治家にとって、約束は破るものである。つまり詐欺師と同じである。孫が詐欺師になっちゃったと与謝野晶子も泣いているかもしれない。

詐欺師に詐欺師呼ばわりされたフライマンが抵抗できるのは選挙行動だけだ。フライマンは今度の選挙でどんな選択をするのか。ちょうど投票日をまたいだ数日のあいだ、私は少し遠くへ釣りに行っている予定なので、忘れずに事前投票をしておこうと思う。といって、私はべつに自民党以外を持ち上げるわけではない。政治屋なんてしょせん同じ穴のムジナだ。と言ってはムジナに失礼だくらいに思っている。私はただこれからも自分がシアワセに釣りをしたいがために、フックの小さなアイ越しに世の中の行く末をかいま見てやろうと思っているだけである。

追記:
冒頭で引いた与謝野発言の前段に、「あのマニフェストは人を喜ばすために作った文章であると思っております。」というひと言がじつは入っていたのを、金融庁のサイトで発見した。あれれ、与謝野氏はフライフィッシングの本質を理解しているのかなとドキッとした。与謝野、正直スマン。が、さらに読むと後段では、「みんながうれしい側面だけ表に出しておられて、誰が本当に負担するんですかと、それを(費用を)。そのことについてもやはりきちんと言っていただかないと、私は話として、全体としての整合性がとれた話にならないんだろうと思っています。」と言っていた。つまり、政治家は公約を破っても整合性があるがフライマンには整合性を認めない、あなたたちとは違うんです、と言いたかったらしい。なんだやっぱりムジナであったか。


(2023.11.24追記)

2023年、塩村あやか議員が #プロレス芸 と発言した。で、上の二件を思い出した。与謝野馨「選挙用のフライフィッシング」発言(2009)と、渡辺美智雄の「それは毛鉤だ。知能指数が高くない」発言(1990)。

個人的に、プロレスもフライフィッシングも毛鉤釣りも好きな私は、あらためて思う。政治家はしょせん同じ穴のムジナである。と言ってはムジナに失礼だが、フライマテリアルにはなる。ところが人間のムジナはマテリアルにもならない。

(追記)

新日本プロレスが公式に抗議し、プロレスファンが大挙して反応し、おそらくは自党内の野田佳彦に諌められたのだろう。「謝罪と撤回」した。いったん口にした言葉を簡単に撤回できると思うのが、さすがのムジナである。

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島崎憲司郎さんの『水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW』は各所で絶賛されてきた超ロングセラーの古典です。このところ突出して出荷数が伸びています。

水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW

フライの雑誌-第121号 特集◎北海道 最高のフライフィッシング

桜鱒の棲む川―サクラマスよ、故郷の川をのぼれ! (水口憲哉2010)

淡水魚の放射能―川と湖の魚たちにいま何が起きているのか  水口憲哉著
 

フライの雑誌 124号大特集 3、4、5月は春祭り
 
北海道から沖縄まで、
毎年楽しみな春の釣りと、
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装画 いましろたかし
解説 荻原魚雷

フライの雑誌-第125号|子供とフライフィッシング Flyfishing with kids.一緒に楽しむためのコツとお約束|特別企画◎シマザキワールド16 島崎憲司郎
座談会「みんなで語ろう、ゲーリー・ラフォンテーン」 そして〈シマザキフライズ〉へ

フライの雑誌 117(2019夏号)|特集◎リリース釣り場 最新事情と新しい風|全国 自然河川のリリース釣り場 フォトカタログ 全国リリース釣り場の実態と本音 釣った魚の放し方 冬でも釣れる渓流釣り場 | 島崎憲司郎さんのハヤ釣りin桐生川

2011年発行。当時と今とはずい分状況が変わった。フライの雑誌-第95号|オトナの管理釣り場(売り切れ)