朝日新聞山梨版に出ていた〈河川への放流制限 全国初 天然魚を保護〉ってなんだろう

県内の河川に生息する天然魚を保護するため、河川での放流を制限する指示を県内水面漁場管理委員会が27日に出した。県によると、委員会が放流を制限する指示を出すのは全国初。今後、放流の際には委員会の承認が必要となる。
県花き農水産課によると、保護対象は絶滅のおそれがあるとして県のレッドデータブックに記載されているイワナ、ヤマメ、アマゴで、生息域以外の魚と交配していない天然魚。
規制の背景には、放流された魚との交配により天然魚が減少していることがある。自然の状態では、川魚は他の生息域の魚と交じることはないが、釣り愛好家らが釣り場の確保や魚の保護のために放流を繰り返してきたため、交配が進んだという。(朝日新聞山梨版10.28

まず見出しでびっくりした。イワナ、ヤマメ、アマゴの放流が禁止になるのかと。そうしたらいまの渓流のほとんどは放流で維持されているから、川に魚がいなくなってしまう。

が、これは朝日新聞の記事がだめ。経緯も状況も分かっていないくせに「放流=よくない、天然=守る」というカラ正義をまた振りかざしただけ。こういうのを、とんちんかんという。

そもそも山梨県内で天然の渓流魚が棲んでいる川へ、どれだけ「釣り愛好家らが釣り場の確保や魚の保護のために放流を繰り返してきた」というのか。

養殖魚と天然魚の交配の原因のほとんどは、漁業権の増殖義務にもとづいた漁協の放流によるものであることは明らかだ。〈長い間放流を行っているうちに、「放流さえしていれば、増殖したことになる」という雰囲気が、漁協だけでなく、その監督官庁である都道府県庁にも強く根付いてしまったと、残念ながら言わざるを得ません。〉と『イワナをもっと増やしたい!』(中村智幸著)にも書いてある。(86頁)

漁協による安易な放流を放置してきたのは水産行政そのものだ。今さらなにを言いだすのか。

規制によって、3種類の魚を河川に放流する際は、事前に委員会に申し出て天然魚の生息域でないことを確認する必要がある。天然魚の生息域を把握している漁協による放流や、釣った魚をその場で放流することは認められている。
県は09年ごろから、釣具店や河川敷に放流しないよう求めるチラシや看板を掲示。だが、放流が確認されたため規制にふみきった。
規制によって、3種類の魚を河川に放流する際は、事前に委員会に申し出て天然魚の生息域でないことを確認する必要がある。天然魚の生息域を把握している漁協による放流や、釣った魚をその場で放流することは認められている。

委員会指示の原文にあたった上で、この指示を解説すると、漁協がやる放流と、釣り人が釣った魚をリリースすることは問題ない。要はお上の許可なしには勝手に放流するな、ということ。

 県花き農水産課の担当者は「ほとんどの場合、放流には悪意はないが、保護のためにまずは、お願いの意味で指示を出した」と説明している。

そしてこの山梨県花き農水産課さんは、一方では釣り人にこんな対応をしているというわけだ。

現実にそぐわない委員会指示を出す前に、もっと他に大切なやるべき仕事がある気がする。