本は生きもの。

8.19、やまなしで過ごす「山の日」シンポジウムで樋口明雄さんが講演した。地元甲府の柳正堂書店さんは、日ごろから樋口さんの著書を大プッシュしてくれている。会場内で出店するスペースに、樋口さん唯一のエッセイ集であるフライの雑誌社刊『目の前にシカの鼻息』も並べてくださるという。もちろん行くに決まっているので前々から楽しみにしていた。

ことわざで、犬も歩けば棒にあたる、とか、鱒は欠伸でカゲロウ呑む、とか、オイカワ泳げば恋が始まる、とか言う。まさにそんな感じで、マイナーな版元の編集者でも、たまに表通りのきらびやかな場所へ行くと、楽しいことがある。行って本当によかった。

写真で紹介。

甲府と言えば信玄公。いつ見ても立派だ。病気さえしなければ全世界を制覇していただろうに。
会場の山梨県立文学館が立派でびびる。ものすごく昔、同じ敷地にある山梨県立美術館にミレーの「種をまく人」を観にきたのを思い出した。おそろしく昔だ。
会場の入口にずらりと並んだ樋口作品に圧倒される。しかもそのすべてに柳正堂書店のおきくさん手作りの炎のPOPがセットされている。なおかつ、『目の前にシカの鼻息』がどセンターの一番いい場所に六面積みされている。他の版元の編集さんがそれを見て「あー、うらやましいですぅ、」とおっしゃっていた。
今日のイベント用に
特別誂えした、
炎のPOPたち。
山の案内まで。とどめとして似顔絵。
POP展開の結果、開場前から爆売れ。熱は伝わる。
想像よりデカいホールでびびった。びびってばかり。がんばれ樋口さん。
樋口さんはふだんは朴訥なくせに、じつは講演はすごく上手。要所要所できっちり(笑)もとる。
タヌタヌ話がいちばんウケていたかな。112号「いぬのはなし」参照。
パワポは自作。「フライフィッシング」ネタも盛り込んでくれました。
ココといっしょのフライフィッシング。「目の前にシカの鼻息」参照。
いい写真。
さいごはちゃんと「シカの鼻息」も紹介してくださって休憩へ。
ご本人のPR効果もあってなんと「鼻息」が、本日の売上げ第1位!。休憩前にあおりPOPをおきくさんが現場制作してくれてさらにヒートアップ。まじ来てよかった。
後半は山岳ガイドの花谷泰広さんとの山シンポ。山で食べるインスタントラーメンはほんとに美味しいですよね!と必要以上に力説する樋口明雄氏。
サイン会も大盛況。おきくさんが「シカの鼻息」を買ってくださった。
柳正堂書店オギノ湯村SC店さん @yumurasc  と、愛されキャラの樋口明雄さんで記念撮影。ありがとうございました。オギノ湯村SC店は8月31日で閉店し、イトーヨーカドー甲府昭和店2Fへカフェ併設の新店舗を9月22日にオープン。書く人、編む人、刷る人、運ぶ人、売る人の思いがつながった本は、読む人の胸の中でいつまでも息づきます。本は生きものそのものです。
山梨日日新聞(2017年8月20日)

『目の前にシカの鼻息 アウトドアエッセイ』
四六判208頁 税込1,800円
フライの雑誌社刊
ISBN978-4-939003-44-8

『約束の地』(2008)で日本冒険小説協会大賞・第12回大藪春彦賞ダブル受賞
樋口明雄 =著 Akio Higuchi

収録作品:

犬と歩む
ようこそ山小屋へ
あのころ奥多摩で
都会のナイフ
薪を割る
サルを待ちながら(NHK「ラジオ深夜便」で朗読)
クマと生きる
〝イセキ〟を渡れ!
インタビュー〈だんだん、自分には山暮らしが合っていると気づいていったんです。〉
犬が好き、猫が好き/犬の叱り方は子どもと同じ/「私の家族を守らなくちゃ」/犬は忘れやすい/私は風呂に入るべきじゃない/肝硬変と阿佐ケ谷と/来たりもんの心得

山の日シンポジウム
目の前にシカの鼻息(樋口明雄著)
目の前にシカの鼻息(樋口明雄著)
目の前にシカの鼻息(樋口明雄著)
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