晩秋から冬場のオイカワのフライフィッシングのコツをまとめました。

身近で手軽で奥が深い、オイカワ/カワムツのフライフィッシング

夏は簡単に釣れ盛ったオイカワたち。でも、これからの季節のオイカワのフライフィッシングは、ちょっと様相が異なります。

晩秋から冬場にかけての、オイカワのフライフィッシングのコツをいくつか紹介します。

道具について

2番、3番、4番くらい。5番以上のタックルでももちろん使えますが、魚がかかっても面白くないと思います。とくに冬場のオイカワのフライフィッシングでは、魚のサイズも釣り方も使うフライもアタリの取り方も、ぜんぶ繊細です。シャベルでご飯を食べてもあまりおいしくない(多分)のと同じです。

写真は、マッキーズ製のグラスロッド 5フィート2インチに1番ラインをのせています。この短さはさすがに特殊です。個性の強い道具を扱えるようになるととても楽しいのですが。

通常は6フィート後半から7フィート半の2番、3番、4番くらいが使いやすいはず。軽めの渓流釣りタックルと思ってください。はじめてのフライロッドなら、7フィート前後の3番をおすすめします。慣れた方なら1番ラインは魚がかかってからも楽しいぞ。

ロッドの素材は、竹竿も素晴らしい。グラスロッドも素晴らしい。グラファイトも素晴らしい。それぞれの特性と味があります。お好きにどうぞ。色々試して遊んでください。

オイカワ/カワムツのフライフィッシングの満足度を深めるために、どんなフライロッドを使うかは、とても大きい要素だ。ただ釣るだけならどんなロッドでもいいし、通常の3番・4番程度の渓流用ロッドならまったく問題なく楽しめる。本当に充分だ。

ただ、オイカワ/カワムツ釣りは、魚のサイズがせいぜい20センチまでと小さい。使うフライサイズは#18以下が中心だ。フライに伴ってティペットも6X以下。大遠投は必要ない。

オイカワ/カワムツ釣りは、幅広いフライフィッシングのジャンルの中で、繊細な部分を切り取ったような釣りだと言える。

すると当然、別になくてもいいんだけれども、それ用のタックルを欲しくなる。それはもはや釣り人の生理現象である。本能にはあらがえないので、あきらめて走りましょう。釣り文化はそうやって華開いてきたのです。

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フライについて

たとえば今年の11月9日の釣りでは、24番でもまだ大きいみたいでした。翌日からハリス0.3号にして26番、28番を投入したところ予想的中。はるかに思うように釣れました。フライのサイズを小さくすると、ほんとに全然魚の反応が違います。野生は正直です。

たとえばこれは、CDCをボディに細くダビングして、ソラックス部分をちょこっともこっとさせて、歯ブラシでピッキングしただけの、ドライともニンフともイマージャーとも区別のつかないフライ。リーダーグリースでびちょびちょにして水面に貼り付かせます。オイカワの釣りではフライサイズさえ大間違いしなければ、あとはキャスティングでなんとかなるものです。これはTMC100の24番だったかな。

魚はそんなに小さくない。7、8センチはあります。3センチくらいのが盛んにライズしているときもありますが、ああいうのは釣れない、と、みんなの井上師匠が断言しています。冬のオイカワを「清流のナイフ」と書いたのは『Angling』第3号(1984年)でした。

小さなドライフライでは結局なんだかんだ言って、シンプルなハックルフライが使いやすかったりします。いざとなればソフトハックルにもなりますし。という理由で、20番から26番くらいのハックルドライは必携。ボディはスレッドで十分。色は淡いのを中心で。そのへんの事情は第116号特集◉「小さいフライとその釣り」にくわしいです。オイカワたちはあんなに小さなフライを薄暗い中でよく見つけて、しかもしっかりサイズを選んで食ってくるよなあ、と感心するばかりです。

ポイントについて

冬場のポイントは夏とはまったく異なります。夏と同じ感覚で瀬を釣り下ったりすると、坊主をくらいます。オイカワだって、いない魚は釣れません。

ちなみに写真のポイントは、いるときには少しはいるけど、いないときにはまったくいなくなります。移動していく途中にちょっとだけ立ち寄る場所なのかなあ。

食い気のある魚は、トロ瀬の脇の浅い岸辺に、ごく小さな群れでいることが多いようです。あくまでピンポイントです。たいてい2、3尾釣ったら、アタリが遠くなります。夏場のように永遠に釣れ続けることはありません。アタリが止まったら移動したほうが得策です。本流では群れが少し大きくなります。

最初は歩いて歩いて歩いてライズを探すか、フライを流して、魚がいる場所を探すこと。魚がいれば何らかの反応があるはずです。

水深が50センチ以下程度でゆるーく流れている広いトロがあったら、オイカワたちがたまっているかもしれません。様子をうかがいましょう。ことによったらフライを投げてみましょう。

湧水の川や排水溝では真冬でもライズしますが、真昼間の本流でライズを発見することは期待薄です。

ライズを釣るならけっきょく夕方がいいみたい。夏と違って陽が落ちるのが早くなっています。午後3時から釣り始めて、午後5時すぎにはまっくら。あっというまです。

釣り方について

ドライフライの場合、リーダーを短くしてふわっとライズ直撃が基本です。ドリフトしません。リーダーはティペットの先のフライまで、まっすぐターンオーバーさせること。たるんでいたり、曲がったりすると、魚がせっかく出ても合わせられません。

流れがほとんどないですし、フライの着水後、5秒くらいが勝負です。なので、フライが見えなくてもまったく問題ありません。魚が出れば20ヤード先でもわかります。

フライがあるあたりでライズがあったら、すかさずフライラインを引く感じで合わせます。竿をバーン!と跳ね上げると、まず合いません。竿は長めの方がフッキングしやすいでしょう。

ピックアップ時に勝手にフッキングして、魚がトビウオになることがままあります。あれをやっちゃうと、あとの釣りがたいへん嫌な気持ちになります。ピックアップはゆっくりと水面を滑らせてからそっと。

じっさいのところ、冬場のオイカワのドライフライの釣りはむずかしいです。風が吹くとライズは消えます。投げれば投げるほど、ライズは遠くに逃げます。トロ場では何回フライに出てもフッキングしてくれない地獄に陥ることがよくあります。

そんなときは、水面でドライで釣るのをちょっと脇へ置いておきましょう。

ごく小さなウエット系のパターン、クロスオーストリッチ、ソフトハックル、フェザントテールを細く巻いてリビングしただけのニンフなどを結びます。

ライズ周辺へキャストして、ほんの少し水面を切った状態で、チョコチョコと3センチ刻みくらいで、リトリーブしてみてください。向こう合わせで勝手にフッキングします。

できれば、ゆるーくでも流れがあった方が、ぜったい釣りやすいです。ゆるーくスウィングさせてみてください。完全にスリックな水面は、魚にアドバンテージが高すぎます。風を利用したキャスティング、釣りやすいポジションなど、少しでも釣り人に有利な要素を集めましょう。なめてかかるとやられるのが、冬のオイカワのフライフィッシングです。

うまくいけば、冬場でもたまには写真みたいのが釣れます。

2021年11月10日、ラインを15ヤードくらい出した先のスウィングに来ました。

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