釣れるフライ、釣りたいフライ2004
釣れてくれ、釣れるはず、釣れないわけがない!
ちっぽけな毛鉤にこめられた釣り人たちの大宇宙
- フライはあくまで疑似エサだ。生エサではないので、なんらかの理由付けなり経験則があってこそ、釣り人ははじめて自信を持って自分の釣りに使える。気は心、イワシの頭も信心から、心頭滅却すれば火もまた涼し(?)
- 多くの実績がある「釣れるフライ」と、魚の都合には関係なく人間が勝手に思い入れる「釣りたいフライ」。どんなフライで釣ろうが自由だし、自分が使いたいフライを使ってたとえ釣れなくとも、またその人の自由。
- フライフィッシャーマンが100人いれば100様の「釣れるフライ」、「釣りたいフライ」がある。そんなアナーキーで多様な価値観を受け入れる懐の深さも、フライフィッシングの魅力の一つではないだろうか。
- 釣り人のフライへの思いは恋愛感情に似ている。パッションと思い込み、時にはルサンチマンがないまぜになったワンアンドオンリーのフライを、釣り人はボックスに詰め込んでいそいそと釣り場へ出かける。…さあ、今日はどんなフライで釣ろうか!
税込価格1,250円
ISBN 9784939003073
INDEX
010 釣れるフライ、釣りたいフライ2004 自分の毛鉤がいちばんかわいい 全国35人のFFMが放つ「釣れるフライ、釣りたいフライ」 愛と情念の70本、ドレッシングとそれぞれのストーリー/一発で釣れちゃったあなたへ 北郷南水/百匹釣り男も夢を見る 渡部貴哉/茨城発フライタイイングの冒険 フライはまだまだ進化する 北見康太郎
046 釣り場時評41/東京湾の釣りと「週刊つりニュース」。海洋大院生の研究テーマ最前線 水口憲哉
048 発言!フライフィッシング業界よ、変わりましょう!匿名
050 悩まないフライマンたちへ 400人の生徒に教えられたキャスティングレッスン法 中馬達雄
057 隣人のフライパッチ 春の里川
062 優しき水辺 斉藤ユキオ
064 心に残るあの一匹 渋谷直人
066 隣人のボックス 65 井田泰司さんのボックス
070 「鬼の口」は語らない 尻別イトウに思う 玉井秀樹
076 本当に使えるフロータントはどれだ 編集部まとめ ユーザーの本音炸裂座談会
084 京浜ベイエリア/魚たちの食卓 餌生物から考える海フライ 牧浩之
089 ストリーム・オブ・マイ・ライフ 我が名はマテン大王 加藤誠
090 日本釣り場論 「霞ヶ関の勉強会」で話し合われていること
095 ストリーム・オブ・マイライフ 『水生昆虫アルバム』、そして 谷口賢太郎
096 イワナをもっと増やしたい! ダムの下流では川底の岩盤がむきだしになることがある 中村智幸
100 フライフィッシング関連企業 Web批評の試み 片山哲也
105 アメリカオシドリひとり旅2 がんばれダックちゃん
110 コンプリート・マテリアル解剖 ヒドリガモ&ボラ皮 斉藤良文
114 やっぱり「夏子」に逢いたい! 梶明広
116 魚の数だけ楽しみがある! ボラボラ島異聞 杉山充
121 友情としてのフライフィッシング 砂田 隆
125 ストリーム・オブ・マイライフ 「マスのいる川」の幸福 松田宣宏
126 続・子どものフライフィッシング 川の時間 本村雅宏
131 ネルソンだより11 フライフィッシング・ガイドは夢の職業2 キョーコ=マーフィー
138 九重町界隈通信10 全部しっちょるいね 田中典康
144 フィールド通信 まだまだ奥多摩/「霞ヶ関勉強会」のメンバーが奥多摩川解禁を見学した 三上隆
146 読者通信
149 トラウト・フォーラム通信
内容紹介
特集1-釣れるフライ、釣りたいフライ2004
毛鉤へ恋して!
全国35人のFFMが放つ「釣れるフライ、釣りたいフライ」
愛と情念の70本、ドレッシングとそれぞれのストーリー
「自分のフライは全部釣れるフライだ。失敬な」、「これで釣れるはずなんだけど、どうしても釣れない、なぜなんだ!」、「今シーズンはこの最新秘密兵器で」…。
釣り人のアツい情念がにじみ出るようなフライとエピソードの数々が集まりました。
これらのフライを使うか使わないかは別にして、35人それぞれバラバラのストーリーは大いに楽しめること請け合いです。
自分の毛鉤がいちばんカワイイ 親バカ座談会
山形県サクラマスの釣れる川のほとりで、釣りと毛鉤に人生を賭ける男3人の熱い火花がバチバチ飛び散った。…当初の編集部の構想がガタガタに崩れたとんでもない座談会です。自分の毛鉤へ熱くなりすぎた余りにしまいには口論まではじめてしまいました。「イトウもサクラマスもウグイも釣れる」毛鉤もひそかに紹介しています。
茨城発フライタイイングの冒険 フライはまだまだ進化する
もうフライフックなんか必要ない!? これまでのフライタイイングの常識をくつがえす新発想「自動ハリス止めフライ」「チェンジフライ」。その恐るべき効能と誕生までの秘話。その内どこかのメーカーからこっそり売り出されるかも。
その他、100匹釣り男の夢見心地コラム、ダディロングレッグス・ウエディングバージョンなど、硬軟とりまぜてお届けします。
半分あっち側に行っちゃった(すいません)全国の釣り人たちが熱に浮かされながら語りまくる、ひたすら「毛鉤!毛鉤!毛鉤!」の大特集です。
京浜ベイエリア/魚たちの食卓 餌生物から考える海フライ
『フライの雑誌』第64号の「マッチ・ザ・バッチ/東京湾バチ抜けシーバス最新研究報告」が大好評だった筆者による、海のフライフィッシング新連載。渓流での発想をそのまま活かせば、海フライはもっとずっと面白くなる。「なんで釣れるのか分からない。でもとにかく釣れる!」というシーバス用フライパターンも余すところなく公開。
アメリカオシドリひとり旅2 がんばれダックちゃん
一羽のトリからフライを巻き終わったら次の釣り人へトリを送ります。次の人がトリを受け取ったらまた巻いて、次の人へとまたトリを送る。それを繰り返していきます。今回は5人の釣り人を「ダックちゃん」が渡りました。千葉→埼玉→愛知→岐阜→大阪→愛知と、ダックちゃんの活動範囲もワールドワイドになりました。
コンプリート・マテリアル解剖 第3回 ヒドリガモ&ボラ皮
第2回目の「ヤマドリ」が好評で、筆者もたいへん気をよくしての第3回は、一般にウィジョンとして知られる「ヒドリガモ」の羽根を徹底的に解説します。さらに筆者曰く“最高の魚皮”である「ボラ皮」までも一挙に紹介。今回はどんなユニークなフライパターンが飛び出すのか。
※お詫びと訂正:112ページの写真配置に誤りがありました。フライ説明に対応した写真の正しい番号はこちらの通りです。著者と読者の皆様にご迷惑をおかけして申し訳ございません。お詫びして訂正します。
隣人のフライパッチ 4 春の里川
釣り場で出会った釣り人のフライパッチをのぞかせてもらう『隣人のフライパッチ』の第4回は、春の里川です。春のうららのサクラ舞う里川で、おそるおそる、しかし決然とお願いしました。 あなたのフライパッチ見せてください!(ついでにタックルも)。
悩まないフライマンたちへ 400人の生徒に教えられたキャスティングレッスン法 中馬達雄
九州鹿児島の伝説のフライマン、中馬達雄氏が10年ぶりに復活してくれた前号の「ボウズの旅」は、予想通りの反響をいただきました。その中馬氏がこの10 年間日々蓄積してきた熱い想いとテクニックを、『フライの雑誌』で連載してくれることになりました。第1回の今号は、「キャスティング」編。距離とアキュラシーを両立させた真っ当なキャスティングは、いま注目の海フライへの挑戦には欠かせません。自ら400人の生徒を教えてきた経験から得たレッスン法を、独特の語り口で展開してくれました。中馬的フライフィッシングの世界へようこそ!
フライフィッシング関連企業 Web批評の試み 片山哲也
フライフィッシング関連企業のウェブサイトを、コンピュータジャーナリスト片山哲也氏がユーザビリティの視点から自由自在に斬りまくります。フライフィッシング文化をもっともっと発展させたいがための愛から生まれました。批評対象はフライフィッシャーマンにはなじみ深い企業のWebサイト全9社。すべてのウェブマスター必見です。他人のページをどうこう載せる前に、『フライの雑誌』のホームページをまず何とかしたらどうか、という声をいただくのは目に見えています。小社的には捨て身かも。
今回批評対象になったのは、ティムコ、パズデザイン、キネヤ、モーリス、シマノ、アングラーズハウス、C&F、スミス、T’s、以上の各社様です。
日本釣り場論31 霞ヶ関発・連続勉強会に潜入する!
本誌前号に掲載した「霞ヶ関発・川と湖の釣りを考える連続勉強会」の記事は、地味だったにもかかわらず、予想以上の反響をいただきました。「霞ヶ関」のお役人たちは、日本の釣りの未来をどう考え、釣り人に何を求めているのか。それに釣り人はどう対応するべきなのか。『フライの雑誌』編集部は「勉強会」発足以来べったりはり付いて取材を続け、もちろん自らも発言してきています。今年に入ってからの「勉強会」で話し合われた内容を、誰にでも分かりやすい編集部の解説付きで、しっかりご紹介します。いま日本の釣り場はドラスティックに変わろうとしています。
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発言! フライフィッシング業界よ、変わりましょう!
… 釣り雑誌(メディア)にしても同様です。主義や精神性を前面に押し出しすぎて、釣りが持つ本来の楽しみから、かけ離れた内容が多くなっているように見受けられます。また、メーカーのちょうちん記事(広告記事)もあまりあからさまに多いと食傷気味になり、購買意欲をそがれます。まぁ、メディアも利益追求団体ですからお金を求めるのは当然ですが、なにごともほどほどが一番なのではないでしょうか。
…年間に個人での釣行日数が1週間を切るような人がプロと呼ばれる立場にいたり、湖でまともに釣りができない方が湖のフライフィッシングの記事を書いていたり、「ミッジからソルトウォーターまでできる」とプロフィールに書いてある人がソルトウォーターでの釣りを紹介するところを見たこともなかったりと、おかしいことだらけです。
釣り雑誌の編集会議にメーカーの担当者が集合して、誌面内容を決めていくというのもおかしな話です。…
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特集2-本当に使えるフロータントはどれだ 編集部まとめ
これからの季節の釣りに欠かせないフロータント。現在市販されている商品はなんと30種類以上、これじゃあどれを買ったらいいのか、買ってはいけないのか、分からない。本当に使えるフロータントは、どれなんだ!
テスト対象商品は31種類。ドレッシングしたフライを水槽に浮かべてピンセットで突き何回浮かび上がってくるかで浮力の持続力を等級分けした「室内テスト」の結果は必見です。パウダー系フロータントをCDCに加工して顕微鏡でのぞいた顕微鏡写真には、なるほど納得。
読者による「フィールドテスト」座談会では、「室内テスト」とはまた異なる評価が出てきたのも、また面白いところです。参加者全員が評価した「これだけあれば後はいらないかも」の決め球商品を実名発表しました。メーカーさんへの切実なお願いも噴出。
内容・切り口共に『フライの雑誌』的なフロータント特集です。
隣人のボックス 65
もっと奥へ、もっと狭いところへ、もっと魚の頭スレスレへ。
…忍野、千曲、道志に通っている釣り人の、ふつうの人とはかなり違う濃い~フライボックス。これならアノ忍野でも釣れると納得。
「鬼の口」は語らない 尻別イトウに思う
ほとんど絶滅寸前にまで追いつめられた、北海道尻別川のイトウを愛するが故に、勤め先を休職してまで現地で活動する大阪在住の釣り人の、イトウへの想いがあふれる情熱のレポート。
心に残るあの一匹
…いつもの車止めから渓に降りた。水量は多めだが、澄んでいて条件は良さそうだ。最初のプールでいきなり太った28センチのヤマメが釣れた。ああ今年はもう終わってもいいかなと思えた。今年もいいシーズンだった。 いつも魚影を見ることのないプールを遠巻きに遡ろうとしたが、なんとなく引っかかった。大岩の影からそっと顔を出してみると、そこには尺を越えるヤマメが悠然と定位し、ライズを繰り返していた。…
釣り人なら誰にでも、忘れられない一匹の記憶がある。北東北の某河川で出会った、いつまでも心に残るあの一匹。
魚の数だけ楽しみがある!
… 再び水面をよく見ると、もう1種類、別のボラがいる。なぜか絶対釣らなくてはという使命感に駆られた。フッキングすると、今度は先ほどよりさらにトルクがある感じだ。後ほど調べると、こちらのボラの正式名称は、オニボラだった。 ボラボラ島で2種類のボラを釣ることが出来た。クリスマス島でボーンフィッシュ、カリフォルニアでターポンより、私にはボラボラ島でボラ釣った、の方がかなりかっこいいと思う。ちなみにこの2種類のボラがボラボラ島の名称の由来かと現地の人に聞いてみたが、当たり前だがまったく関係なかった。
フライフィッシングで一体何種類の魚が釣れるかをテーマにした釣り人の人気連載レポート。今回はビーチリゾート、南の島編です。
続・こどものフライフィッシング 本村雅宏
…子どもたちにフライフィッシングを教えたかったのではない。そばに川が流れているから、それが一番の理由だった。その川が黒部川であっただけのことなのだ。山があれば登っていただろうし、実際に裏山に駆け上がり、野原をスキーで駆けた。見たもの、聞いたもの、出会ったもののすべてが子どもたちに刻み込まれていくのを感じていたが、実は、科学少年だったボク自身が何かを取り戻す過程でもあったらしい。フライフィッシングが川への、それを含む大きな自然に接近する手がかりになる。…
テレビ・雑誌など各方面で話題になりブームとなった、『宇奈月小学校フライ教室日記』の筆者による、中断していた本誌連載「子どものフライフィッシング」、その続編。
ネルソンだより11 フライフィッシング・ガイドは夢の職業2
…トニーは十二番のアダムスを彼のリーダーに結んだ。
「上流に向かってキャストだ!」
「もっと長く!」
「もう少し左だ!」
「そこだっ、ストライク!」
ついに彼は六二センチ、五ポンドのレインボートラウトを釣り上げた。彼の六〇年のフィッシング人生で最大の魚だった。
「おめでとう!」
彼の肩を叩こうとしてトニーはふと、キャッチしたばかりの魚を両腕にしっかり抱きしめた老紳士が体をガクガク揺すぶっているのに気付いた。彼は感動と喜びで全身震えているのだった。
…ニュージーランド在住のキョーコ=マーフィー氏が深い洞察力とあたたかい視線、オリジナリティあふれる筆致で語る、人気連載第11回。