[重要]「水産分野における産業管理外来種の管理指針」の制定案についての意見・情報の募集(パブリックコメント)6.15から7.14まで実施

「水産分野における産業管理外来種の管理指針」の制定案についての意見・情報の募集(パブリックコメント)が、6月15日より始まった

今後、7月14日まで広く国民からの意見・情報を受け付けたあと、「水産分野における産業管理外来種の管理指針」が制定される。

以下、詳細を転載する。太字は引用者。

本パブコメについての当編集部からの感想は最後に。

> 産業管理外来種(ニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウト)って何だろう

> 〈産業管理外来種〉〈国内由来外来種〉は釣りや漁業とどう関わるのか? 水産庁釣人専門官に聞いてみた

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「水産分野における産業管理外来種の管理指針」の制定案についての意見・情報の募集
について

平成29年6月15日
水産庁漁場資源課

この度、「水産分野における産業管理外来種の管理指針」の制定案について、広く国民等から意見・情報を募集いたします。

今後、本案については、提出いただいた意見・情報を考慮した上、決定することとしております。

1 意見公募の趣旨・目的・背景
本管理指針の制定を行うに当たり、広く国民等からの意見・情報を募集するとともに、提出された意見・情報を考慮しつつ、本管理指針の制定案の内容に反映させることを目的として行うものです。

2 意見公募の対象となる案及び関連資料の入手方法
水産庁漁場資源課において配布並びに電子政府の総合窓口(e-Gov)(http://www.egov.go.jp)の「パブリックコメント」欄に掲載(農林水産省ホームページにあるリンクからアクセスが可能)

3 意見・情報の提出方法
(1)インターネットによる提出
(2)郵送 〒100-8907 東京都千代田区霞が関1-2-1
水産庁漁場資源課 環境調査班
(3)ファクシミリ 03-3502-1682

4 意見・情報の提出上の注意
提出の意見・情報は、日本語に限ります。また、個人は住所・氏名・電話番号・メールアドレスを、法人は法人名・所在地を明記して下さい。これらは、公表する場合もありますので、ご了承願います(公表の際に匿名を希望される場合は、意見提出時にその旨書き添えて下さい。提出いただいた個人情報については、お問い合わせの回答や確認のご連絡に利用します。なお、これらの情報はご意見等の内容に応じ、農林水産省内の関係部署、関係府省等に転送することがあります。)。なお、電話での意見・情報はお受けしませんので御了承願います。

5 意見・情報の提出の締切日
平成29年7月14日(郵送の場合も締切日必着とします。)

6 公示資料
・制定の概要(水産分野における産業管理外来種の管理指針(案)について)
・水産分野における産業管理外来種の管理指針(案)

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水産分野における産業管理外来種の管理指針案について

1 管理指針の策定経緯及び趣旨
環境省、農林水産省及び国土交通省は、我が国の外来種対策を総合的かつ効果的に推進するための外来種被害防止行動計画(以下「行動計画」という。)を策定するとともに、環境省及び農林水産省は、外来種についての国民の関心と理解を高め様々な主体に適切な行動を呼びかけることを目的とした、我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(以下「外来種リスト」という。)を作成し、公表しているところ。

この中で、ニジマス、ブラウントラウト及びレイクトラウトは、産業管理外来種(産業又は公益的役割において重要で代替性がなくその利用にあたって適切な管理が必要とされる外来種)に分類されている。産業管理外来種の利用にあたって、関係者は、外来種リストにおいて種ごとに示された利用上の留意事項に沿った管理に取り組むこととされている。

今般、水産庁は、ニジマス、ブラウントラウト及びレイクトラウトについて、都道府県や研究機関等の協力を得て、生物学的及び社会経済的な調査を実施したところ、分布や再生産の状況、産業利用の実態等に関する新しい知見が得られるところとなった。

こうした知見を踏まえ、産業管理外来種のより適切な管理を推進するために、水産分野における産業管理外来種の管理の基本的な考え方等を管理指針として示すこととしたものである。

2 管理指針の概要
(1)基本的な考え方
(2)主な主体の役割と具体的な取組
(3)公的規制による対応
(4)新たな利用の取扱い
(5)その他

3 今後のスケジュール
関係者への通知 7月下旬

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(案)
平成29年 月 日
水産庁

水産分野における産業管理外来種の管理指針

1.基本的な考え方

「外来種被害防止行動計画」(平成27年3月26日環境省・農林水産省・国土交通省策定。以下、「行動計画」という。)では、産業において利用される外来種について、すぐに利用を控えることが困難な場合には、外来種の利用量を抑制する方法の採用や、生態系への影響がより小さく産業において同等程度の社会経済的効果が得られるというような代替性がないか検討し、利用量の抑制が困難である場合や代替性がない場合は、適切な管理を行う必要があるとしている。

こうした基本認識の下、ニジマス、ブラウントラウト及びレイクトラウト(以下「ニジマス等」という。)については、水産業のみならず地域経済の活性化に広く貢献しているが、元々は我が国の在来種ではなく、不適切な管理の結果、管理地外に逸出した場合は生態系等に被害を及ぼすおそれもあることから、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」(平成27年3月26日環境省・農林水産省策定。以下「外来種リスト」という。)において、「適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)」に位置付け、利用する際の適切な管理を求めているところである。

このため、ニジマス等については、利用量を抑制する方法の採用や、生態系への影響がより小さく産業において同等程度の社会経済的効果が得られるというような代替性がないか、引き続き検討を続けていきつつ、その利用に当たっては、外来種リストの利用上の留意事項の「これ以上の分布拡大をしない」に沿った管理とする必要がある。

2.主な主体の役割と具体的な取組

水産分野における産業管理外来種に特に関わりの深い主な主体においては、水産庁の協力の下、以下に示す取組のほか、相互に連携して、産業管理外来種の利用や管理に関する適切な理解と必要な情報の共有に努める。

(1)漁業関係者

① 漁業協同組合
第5種共同漁業の免許を受けた漁業協同組合には、対象魚種の増殖義務が課せられている。当該漁業協同組合が増殖行為の1つとして産業管理外来種の放流を- 2 -実施するに当たっては、在来種の繁殖保護にも留意する。

また、ニジマスやブラウントラウトは降海して他の河川に生息域を拡大したり在来種と交雑する能力を潜在的に有している実態を踏まえ、関係する都道府県(水産試験場を含む。)及び内水面漁場管理委員会と協力して、対象魚種の分布や再生産の状況、当該漁業権漁場からの移動(地域によっては降海魚の存在を含む。)及び交雑種の有無等に関する情報の収集に努める。

② 養殖業者
産業管理外来種を扱う養殖業者は、当該養殖施設から産業管理外来種が逸出しないよう努めるとともに、生体販売を行う際には、私的放流に利用されることがないよう購入者に対してその用途等を確認する。

(2)遊漁関係者

① 遊漁関係者
遊漁関係者は、原則として、公有水面における産業管理外来種の放流は自粛する。現時点において、公有水面で何らかの放流活動を実施している場合には、当該公有水面を管轄する都道府県や関係する共同漁業権者に相談するとともに、水産試験場等研究機関の助言を得た上で、対応を検討する。

② 管理釣り場の管理者及び経営者
産業管理外来種を扱う管理釣り場の管理者及び経営者は、当該釣り場施設から産業管理外来種が逸出しないよう努めるとともに、私的放流の端緒となる蓋然性の高い生体が持ち出されることがないよう適切な措置を講ずる。

(3)都道府県・内水面漁場管理委員会

① (1)①及び②の者並びに(2)②の者に対し、産業管理外来種の管理に関する取組が円滑に行われるよう適切な指導・監督に努める。

② (2)①により、遊漁関係者から放流活動に関する相談等を受けた場合には、必要に応じて水産試験場等研究機関と連携して、他の水産資源等に与える影響等地域の実情に応じて指導・監督を行う。

③ 調査や研究に関係する部局は、産業管理外来種の分布や生態等に関する知見の更なる把握に努める。

(4)試験研究機関

産業管理外来種の分布や生態等に関する知見の更なる把握に努める。また、産業管理外来種を育種実験等に利用する場合には、当該研究施設から産業管理外来種が逸出しないよう努める。

3.公的規制による対応

以下に該当する場合には、地域の実情を踏まえ、必要に応じて内水面漁業調整規則- 3 –
や内水面漁場管理委員会指示等により産業管理外来種の移植を禁止する等の措置を講ずることとする。

(1)生物多様性の保全上重要な水域がある場合や、北方の高地や湖沼においてレイクトラウトの分布拡大を防ぐ必要がある場合

(2)ブラウントラウトについて、生息水域が拡大し、在来種との交雑種が確認されるなど、水産資源の保護培養上の懸念がある場合

4.新たな利用の取扱い

産業管理外来種の分布域の拡大を招く可能性のある利用に繋がるような第5種共同漁業の新たな免許(既存の漁業権漁場において第5種共同漁業の対象魚種として産業管理外来種を追加する場合を含む。)は、行わないことが望ましい。ただし、個別の状況等に照らし、その是非を慎重に検討する必要があるため、各都道府県におかれては産業管理外来種の新たな利用に関する問合せがある場合には、事前に関係研究機関等と十分に相談するとともに、水産庁資源管理部漁業調整課に連絡することとする。

5.その他

水産庁は、関係機関や上記に示した各主体と連携して、引き続き、産業管理外来種を巡る状況の把握に努め、適時、必要な対応を検討していくこととする。

転載終わり

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本パブリックコメントの実施については、水産庁のウェブサイト上に、いっさい案内が出ていない。農水省の検索窓で、「水産分野における産業管理外来種の管理指針」を検索しても、パブコメ案内はヒットしない。

総務省が運営する「電子政府の総合窓口(e-Gov)」の「パブリックコメント:意見募集中案件一覧」を検索しないと、たどりつけない。「電子政府の総合窓口」を日常的にチェックしている人だけが、分かる。

そんなヒマ人が、どこにいるのだろう。

農水省の内規で、自分とこのパブコメを自省のウェブでアナウンスしないことになっているのなら、それは農水省がおかしい。電子政府万歳だ。

ニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウトは、日本で広く、長く親しまれている内水面漁業の重要魚種である。今回の「水産分野における産業管理外来種の管理指針」(制定案)の行方は、内水面漁業と釣りの未来を左右するかもしれない。

そんなに大切なテーマなのに、はやい話、国民にとってはパブコメ情報を隠されているのと同じだ。本当は「ご意見」を欲しがってないんじゃないか、と邪推されてもしかたない。

4/26の意見交換会で、「産業管理外来種の指定はニジマスの漁業振興にどんな影響を与えるのか」というフライの雑誌社からの質問に対して、水産庁栽培養殖課内水面漁業振興室の課長補佐は、「水産庁はこれまで漁業権にもとづいて内水面漁業を振興させてきた。これからも漁業権の範囲でしっかり振興させていく。」と、ごう然として答えた。

水産庁の内水面漁業振興策がうまくいっているのなら、過去10年間で日本の内水面漁業は右肩上がりに伸びているはずだが、現実はまるで逆である。よく言うよと呆れた。内水面漁業がとっくに危機的状況にあるのは、役所の自分たちが一番分かっているだろうに、現状を認めようとはせず、意見を聞く耳も持たない。

意見交換会なのに。

監督官庁としての水産庁が威張りくさったまま沈没したって一向にかまわないが、日本の釣りがこのまま水産庁と一緒に衰退、消滅するのでは、釣り人は困る。だから、水産庁がんばれ、と言っている。それ以上でもそれ以下でもない。

と、『フライの雑誌』では30年前の創刊当時から言いつづけているが、状況はいよいよ詰んできたと感じている。

なお、「水産分野における産業管理外来種の管理指針」の制定案についての意見・情報の募集(パブリックコメント)に関して、水産庁漁業調整課沿岸・遊漁室の釣人専門官の名前で、釣りジャーナリスト協議会のメンバー宛に、6/15付でパブコメ実施のアナウンスが一斉メール送信されている。今まではなかったことだ。

個人の楽しい釣りに、生ぐさい政治や行政のあれこれは関係ないとしても、個人が楽しく釣りをつづけるためには、政治や行政の動きと無関係ではいられない。

日本が法治国家である以上は。

(このところそれもだいぶ怪しくなってきたみたいだけど)

> 追加) 水産庁は自庁のFacebookだけに、パブコメ実施のアナウンスを掲載した。ネットの利用基準が分からない。電子政府だかなんだか知らないが、情報化社会が進めば進むほど、国民との接点はお上からの一方通行になる。手抜きのわりに、公務員の数は減らない。今春からマイナンバー導入を理由に、日野市役所の住民票発行機械が撤去された。とっても不便である。

それにしても、国家公務員が口にする「みなさん」って、誰のことなんだろうか。

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(編集部 堀内正徳)

「水産分野における産業管理外来種の管理指針」意見・情報募集
4/26の意見交換会
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