1987年に「フライの雑誌」誌上で、水口憲哉さんが「日本の釣り場はパチンコ化している」と書いているのを読んで、わたしは何言ってんだこの人と思った。野生のいい魚を求めて、釣りに夢中な若者だったから、当然の反応だ。自然あふれる川を湖をパチンコ屋とは何事だと。
だが現実を眺めていくうちに、日本の内水面釣り場が因習的に抱えている諸問題を知る。渓流釣りの解禁日に魚の入ったバケツを持ってうろうろする漁協組合員の姿を見る。「こっちにも撒いてくれ」と声をかける釣り人がうじゃうじゃいて、放たれた養殖魚を大量に持ち帰る。殺戮者を太公望と呼んで書き飛ばすマスコミは常に他人事である。
少なくとも自分が通っていた東京近郊の渓流釣り場はそんな感じで、パチンコ店と言われても仕方なかった。再生産能力のない川は、開店特出しの翌日から、魚のいない水が流れるだけである。そういうものだと皆が諦めていた。
橋の下をたくさんの水が流れた。長良川河口堰が強行され、大規模乱開発は繰り返され、東日本大震災と原発事故があって、いくつものダム建設も止まらなかった。そして今、これからの時代に大切なのは生物多様性だ、在来種保全だ、遺伝子汚染の防除、だと言う。その前に器はどうなのか。日本の川と湖はすでにボロボロではないのか。パチンコ店だらけになるのを傍観してきた我々ではなかったか。
2024年の長良川ニジマス管理釣り場が問題なら、こういう生態系撹乱の公共事業こそ大問題である。ミズワタクチビルケイソウだってどうなんですかという話。相手が大きくて強いからと見ないことにするのはフェアではない。
で、けっきょく何が言いたいかと言うと、今からでも遅くない、立場はいろいろあれどよくよく考えて、まっとうな川と湖を我々の手に取り戻そう、ということ。さらなる破壊は止める。器を修復する技術も新しく生まれているはずだ。
木曽川水系連絡導水路の事業費2.5倍
渇水対策のために徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を揖斐川から木曽川に流す木曽川水系連絡導水路事業を巡り、事業の検証を進める関係自治体の検討会が28日、名古屋市内で開かれ、事務局側は当初計画の2・5倍にあたる2270億円の総事業費を示した。
検討会では、事務局の国土交通省中部地方整備局と水資源機構中部支社が検証結果を説明。当初の総事業費は2006年度には890億円を見込んでいたが、物価上昇や働き方改革の影響などで工事費が膨らみ、2270億円に上る見通しを示した。…
海は誰のものか。川は誰のものか。海も川も公有水面であり、誰のものでもなくみんなのものであると、言い続けなければならない。国や県が勝手にできるものでもない。
「漁業者の川から釣り人の川へ」再考 水口憲哉2014
> 【公開記事】ソウルの川
> 日本のマス釣りを知っていますか(『Backcasts: A Global History of Fly Fishing and Conservation』)
オンライン書店での扱いが始まりました。
honto 在庫ありhttps://t.co/guu6ZUI3AX
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アマゾン 在庫ありhttps://t.co/Ldvtbz27BV pic.twitter.com/ZcJktERIYc— 堀内正徳 (@jiroasakawa) March 18, 2024
フライの雑誌 125(2022夏秋号)
> くわしい内容はこちら
Flyfishing with kids.
一緒に楽しむためのコツとお約束
子供と大人が一緒にフライフィッシングを楽しむためのコツとお約束を、子供と大人で一緒に考えました。お互いが幸せになれるように、子供が子供でいられる時間は本当に短いから。
子供からの声(10〜12歳)|大人からの声|水産庁からの声|子供と遊ぶための道具と技術と心がまえ|釣り人の家族計画|イギリスの場合|「子供釣り場」の魅力と政策性
特別企画◎シマザキワールド16 島崎憲司郎
座談会「みんなで語ろう、ゲーリー・ラフォンテーン」
そして〈シマザキフライズ〉へ
ちっちゃいフライリールが好きなんだ|現役で使えるグリーンハート製ロッド大集合!|湯川の娘 知来要|カワムツはいつ、どこから来たか|海女のゆく末|メガソーラーの問題点
水口憲哉|中馬達雄|川本勉|斉藤ユキオ|カブラー斉藤|大木孝威|荻原魚雷|樋口明雄|島崎憲司郎